建築家と創る家 K様邸
更新日:8月31日

凛とした冬の空気の中、新たな住まいの計画「K様邸」が動き出しました。
今回のテーマは、「建築家と創る家」。お施主様の想いを汲み取り、提示されたのは「祠(ほこら)」のような静謐な佇まいです。
その静かな外観とは対照的に、内部には生業である「ペットトリミングサロン」と、生活空間をつなぐ「滑り台」が計画されています。
「働く・暮らす・遊ぶ」を、一つの屋根の下で緩やかにつなぐ試み。これから始まる家づくりの過程を、少しずつお届けしてまいります。

計画の進行状況
冬の寒さが本格化する中、K様邸の計画が図面の上で鮮やかに立ち上がってきました。
建築家より、暮らしと生業(なりわい)、そして静寂を調和させるプランが提示されましたので、その一部をご紹介します。
まず敷地全体を俯瞰し、ゆとりあるお庭と、最大5台分の駐車スペースを確保しました。
これは、ご自宅での時間だけでなく、サロンへ訪れるお客様への配慮でもあります。
トリミングサロンは、玄関近くへ配置。お客様の動線をスムーズにしつつ、住居スペースとの距離感を適切に保つ。
職と住、それぞれの時間が混ざりすぎず、心地よく流れるよう計画されています。
あえて光を絞る、和の空間
もう一つの特徴は、小上がりの和の空間です。
ここではあえて「窓を設けない」という選択をしました。外の景色を遮断し、光を絞ることで生まれる「こもり感」。
日常の喧騒から離れ、静かに心を落ち着けるための、機能としての暗がりです。
完成のお披露目となる鑑賞会では、施主様のご厚意により、トリミングサロンの割引チケットの配布も予定されています。
この場所が、ご家族にとっても、地域の方々にとっても、豊かな拠点となることを願って。
引き続き、詳細な設計を進めてまいります。

地盤調査とコーディネート
年の瀬も押し迫り、寒さもひときわ厳しくなってまいりました。
K様邸のプロジェクトも、2025年最後の重要な確認と選定を迎え、静かに前進しています。
まずは、家づくりの要となる「地盤調査」の結果が出ました。判定は「問題なし」。
改良工事の必要はなく、この土地がこれから建つ住まいをしっかりと支えてくれることが確認できました。
建ってしまえば見えなくなる部分ですが、確かな強度は何よりの安心材料です。
足元の安堵を得た後は、コーディネートのお打ち合わせへ移りました。
クロスや外壁、その他細かな仕様について、サンプルを手に取りながら検討を重ねていきます。
それは単に色を決めるのではなく、素材の持つ質感や、光が当たった時の陰影を想像する作業です。
「祠(ほこら)」のような外観にふさわしい重厚感と、室内で過ごす時間の心地よさ。
全体のバランスを見ながら、一つひとつ丁寧に仕様を決定しました。
見えない強さと、目に見える素材。その両方が整い、来るべき着工の日に向けて、準備は順調に進んでいます。

内装コーディネートの進行
厳しい寒さの中にも梅の蕾がほころび始め、少しずつ春の気配を感じる季節となりました。
K様邸では、住まいの内側を整える作業が静かに進んでおります。
現在も継続している内装コーディネートでは、空間の背景となるクロスの選定から、毎日の使い勝手を左右する収納のあり方、
そしてインターホンの細かな配置に至るまで、一つひとつ丁寧な確認を重ねています。
壁紙の手触りや、視線の抜け方、動線の無駄のなさ。図面上の寸法だけでは測れない「心地よさ」を、お施主様とともに探る大切な工程です。
また、今回の家づくりでは、部分的なあしらいとして、お施主様の趣味や好みが反映されたパーツをご支給いただくことになりました。
私たちがご提案する整然とした空間に、ご家族の思い入れのある品がそっと添えられる。
そのことによって、家は単なる「箱」から、真の意味での「暮らしの場」へと体温を持ち始めます。
細部にまで目を行き届かせるこの時間は、これからの長い日々を豊かにするための静かな助走期間です。
春の訪れとともに本格化する現場の動きに向けて、準備は着実に整えられています。

着工の準備
柔らかな春の日差しが、少しずつ大地を温める季節となりました。
K様邸のプロジェクトは、図面や素材と向き合う静かな時間を経て、また新たな節目を迎えようとしています。
これまで丁寧に重ねてまいりました、内装や仕様に関するコーディネートのお打ち合わせが、おおよその完了を迎えました。
壁紙の手触りや建具の収まりなど、細かな部分まで一つひとつ吟味する作業を終え、いよいよ4月末より現地での着工を迎える運びとなりました。
これまでの対話を通じて一貫して伝わってきたのは、お施主様の「暮らしと遊びの調和」を大切にする眼差しです。
日々の生活を営むための整然とした空間の中に、いかにして心躍る遊びの要素を溶け込ませるか。
選ばれた素材の質感や、余白を残した空間設計の端々に、その想いが静かに宿っています。
紙の上に描かれていた線が、春の深まりとともに、いよいよ実体のある建築として立ち上がり始めます。
土を均し、基礎を築き、木を組み上げる。職人たちの確かな手仕事によって形作られていくこれからの過程も、引き続きお届けしてまいります。

現場の進捗
梅雨の晴れ間、青葉を渡る風が現場に夏の匂いを運んできます。
図面の上の線が、いよいよ実体を持ち始めたK様邸。基礎の上に、その骨格が立ち上がる日を迎えました。
クレーンで吊り上げられた柱と梁が、棟梁の合図に合わせて一本ずつ組み上げられていきます。
あらかじめ刻まれた仕口が寄り添い、木と木が小気味よい音を立てて噛み合う。
数えきれない判断の一つひとつが積み重なり、「祠(ほこら)」のような静謐な佇まいの、その芯となる骨格が姿を現しました。
削り出されたばかりの木肌が初夏の光を受けてやわらかく輝き、現場には真新しい木の香りが満ちています。
やがて屋根に覆われる骨組みは、今日ばかりは空へと大きく開かれ、完成すれば二度と目にすることのない、構造そのものの美しさをたたえていました。
骨格が立ち上がると、これまで寸法でしかなかった空間が、歩いて確かめられる場所へと変わります。
この日は、電気のお打ち合わせを現地で行いました。
スイッチやコンセント、照明の位置を、実際の壁の前に立って一つひとつ決めていきます。
朝はどこで灯りをともすか。家事の動線に無理はないか。サロンを訪れるお客様の手元には、どんな光が届くとよいか。
図面では測りきれない体の動きを想像しながら、暮らしの灯りの居場所を確かめました。
とりわけ、あえて光を絞った和の空間では、灯り一つが陰翳を大きく左右します。
数値ではなく、心地よさで選ぶ。静かな判断の続く時間です。
生業であるトリミングサロンも、こうして少しずつ実像を結び始めました。
ご家族の働く場所として、そして地域の方々を迎える拠点として、その開業の日は着実に近づいています。
詳しいご案内は、また改めて。次は、骨格に暮らしの肌が重ねられていく造作の頃に、現場からお届けします。

蝉の声に、少しずつ間が生まれる頃となりました。日中の陽射しはまだ厳しいものの、夕暮れの風には秋の 匂いが混じり始めています。骨格だけだったK様邸は、この夏のあいだに、暮らしの肌をまとい始めました。
現場に入ると、まず木の香りが迎えてくれます。床には無垢の赤松が張られ、自然塗料のオイルが引かれま した。針葉樹ならではの柔らかさは、素足で立ったときのぬくもりとなって返ってきます。傷はつきやすい。けれ ど、その傷ごと色を深めていくことを承知のうえで選ばれた床です。
リビングとの間には、縦格子が立ち上がりました。壁で仕切るのではなく、視線は通し、気配は残したまま、領 域だけを分ける。「働く・暮らす・遊ぶ」を一つの屋根の下でつなぐという当初の意図が、ここでかたちになって います。
玄関を入って正面には、滑り台のささらが据えられました。塗装はあえて施さず、削り出したままの木肌で。手 を滑らせると、木の目が指先に伝わります。窓を設けなかった小上がりには、白茶と灰桜の畳が納まりまし た。光を絞ったこの場所だけ、空気の密度が違って感じられます。
生業の場には、名が付きました。「祠(ほこら)」。秋の開業に向けて、準備が進められています。
仕上げの工程を残すのみとなり、この住まいをお披露目する日が決まりました。九月十九日から二十三日ま での五日間、「特別鑑賞会」としてK様邸を公開いたします。完全予約制、一日八組様。会場の詳しいご案内 は、ご予約の後にお伝えいたします。
図面の上の線が、木となり、光となるまで。その道のりを、どうぞ直接お確かめください。


